四季をテーマに作曲された音楽は無数にある。パッと浮かぶだけで、有名なものをあげると、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」 作品8「四季」、ピアノ作品でいうとジョージ・ウィンストンの四季四部作。それぞれの目線で季節を切り取り表現している。
思えば、僕の大切な出来事の背景にいつも四季があった。誰かと話をする窓の向こう、飛行機から降り立ったときの街の香り、決意をして玄関を開けた朝の光、季節はそれらの光景を抱えていた。春が終わっても、また来年になれば春が来る。
これは一つの永遠のようで、希望を覚える。四季を音楽を通じて見つめることで、何か新しい喜びに出会うのではないか、と思った。
そして、アルバムの内容について考えた。ピアノはもちろん弾くのだけど、歌が欲しいと思った。
そこで僕が思い出したのは、米さんのことだった。
米さんとはシンガーソングライターの米山ミサさんのことで、浮という名前で活動している。
日常的に米さんの歌が好きでよく聴いていた。民謡の持つ節と共に何かとても新鮮なものを感じた。そして歌声が本当に美しかった。
以前、米さんが宮崎でライブをした際、パーソナリティーを務めるMRTラジオ放送 be quiet -世界で一番静かなラジオ-にて、音楽を紹介させていただいたことがあった。その際、いくつかメールでのやりとりをしただけだったので、オファーをして大丈夫か心配だった。なので、引き受けていただきとても嬉しかった。
米さんに歌詞を考えてもらい、僕が曲を作るという方法をとった。そのとき一つだけ音楽の背景として話したのは、「冬の夜、目の前の大切な一人のために歌う曲にしたい」ということだった。
しばらく経って、米さんから歌詞が届いた。ピッタリだった。でも、その分どうやって旋律を付けるのか、思案する日々が続いた。ピアノの曲を作るときは和声、つまりコードの響きで持っていくことが多いのだが、歌となるとやっぱり旋律も冴えたものにしたい。ピアノの前に座って、歌詞を読みながら、歌ってみたり弾いてみたりを繰り返す。シンガーソングライターの人はどう作っているんだろう、など頭をひねりながら工夫を続けた。そして、「しずかな旅」という曲が出来た。
この曲がアルバムの方向性を決めた。
