旅をすることが好きな人がいる。ということは苦手な人もいる。
僕はどちらでもないような気がする。一番好きな時間は目的地までの道中だ。
車窓が日常の景色を移ろわせて、見覚えのない街並みや山々、海景が広がると、遠くに向かっているのだな、という気持ちになる。留守にしている家には、もう一人の自分がいて、日常を守ってくれている。そんな風に考えたりする。
旅には出逢いがある。僕はなるべく予定を決めないで出かけることにしている。
自分の意思を弛わせて、他者の意見を受け入れる姿勢を作る。
僕が行きたいところに行くのもいいが、そうなると自分の好きなものしか目に留まらなくなる。
旅をするなら、普段の自分なら興味が無いものや苦手なものも取り入れたい。流れに任せてみると思わぬ大海に出るときもある。岩に引っかかることもある。
まあいいか、と上を見たら空があって太陽が居て、たまに雨が降って、月が微笑む。そんな時間に包まれた旅は愛おしい。僕は旅が好きなのかもしれない。
でも、好きだと言って向こうから断られるのも癪だから好きとは言わないでいる。
いつかここにも旅の記録を書いてみよう。